株式会社People Cloudが、東欧の高度ITエンジニアの人材紹介事業hello, yaponiya(読み:ハロー、ヤポーニヤ)のとして、「東欧エンジニア来日ハッカソン」のDEMO Dayを2025年4月18日、東京都が運営するスタートアップ支援拠点Tokyo Innovation Baseで開催しました。35社40名の企業関係者が会場に駆けつけ、東欧からやってきた高度ITエンジニアによる開発内容に関心を示しました。

東欧エンジニア来日ハッカソンは、People Cloudが提唱する「エンジニア・イン・レジデンス」の取り組みの一環で行われ、島根県出雲市の古民家で10人のエンジニアが衣食住をともにする12日間の共同生活の中で、同時にリサーチや開発も行うというものです。

今回のハッカソンは、グローバルにサービスを展開するトランスコスモスとの共同企画として開催されました。参加エンジニアは、ロシア人4名、カザフスタン人3名、キルギス人2名、日本人2名、ウクライナ人1名、インド人1名の計13名で、4つのインターナショナルなチームを組み、日本企業が抱える社内業務効率化に関する課題を解決するソリューションを開発しました。

ハッカソンの開発環境には、トランスコスモスがサポートサービスを提供するノーコードツール「Adalo」を使用しました。エンジニアたちは、Adaloのカスタムコンポーネントを開発し、上記課題に対するソリューションを提案しました。Adaloは、ドラッグアンドドロップで、誰でもノーコードでフルカスタムウェブ&モバイルアプリを作成できるノーコードツールです。最大の特徴は、一度アプリをデザインすれば、App Store、Google Play、自社ウェブサイトにそのまま公開できることです。2018年のリリース以来、その使いやすさから500,000以上の企業や個人がAdaloを使ってアプリを開発しています。 

<各チームの発表>

チームA 

従業員の部署異動に伴う「知識の損失」を防ぐためのシステムを開発。異動前に業務知識を記録・提出するよう促し、レビュー・承認のプロセスを経て異動が完了します。これにより、重要な専門知識を組織に残し、社内で活用できるようにします。

🔹 技術スタック: Adalo, Java/Spring, Gemini AI

🔹 現在の機能:

  • ナレッジ登録ワークフロー:部署異動時にナレッジの登録をリクエストでき、レビュー・承認を経て正式に記録されます。
  • チャットによる知識照会:ユーザーが専門家に直接質問し、情報を得ることができます。
  • Gemini AIを活用し、専門家との会話を自動で整形されたナレッジ記事へ変換

チームB

社員がわざわざ情報を手入力しなくてもOK!Team Bは、AIが勝手にナレッジベースを作ってくれる便利ツールを開発しました。社内の知識を楽に、正確に、どんどん貯められます。

🔹 技術スタック: Adalo, Python, Ruby on Rails, JavaScript / TypeScript, Gemini AI, Docker

🔹現在の機能:
・ユーザーが質問を投稿し、関連部署を選択できる

・全ユーザーが質問を閲覧・回答可能

・質問・回答それぞれに「いいね/よくないね」評価ができる

・質問者が「ベストアンサー」を選択可能

・Gemini AI が回答を自動的にナレッジベースへ整理

・有益な貢献に対してスコアが付与される仕組み

・スコアや活動状況を表示するユーザープロファイル機能

チームC 

チームCは、「フォーマットを気にせず、気軽に記録できる仕組み」を通じて、従業員がナレッジを蓄積・共有する文化を自然に育てることを目指しました。リマインダー機能を活用し、継続的な記録を促すことで、現在そして未来の従業員にとって有益な情報資産を増やしていきます。

 

🔹 技術スタック: Adalo, PHP (Laravel)

🔹 現在の機能: 

・各プロジェクトのナレッジ記録を一覧表示

・ナレッジベースへの記録追加

・各記録に対してメモを追加可能

・毎日のメールリマインダーで記録を促進

・ユーザーのリクエストに応じて、各プロジェクトの要約を自動生成

・各記録・プロジェクトに対する評価システム(正確さ・有用性のフィードバックを取得)

・四半期ごとのリマインダーメール配信

チームD 

チームDは、社内の職種異動をスムーズにするアプリを開発しました。従業員が新しい役職に挑戦したいとき、必要なスキルや自分との適合性が分からないことが多くあります。そこで、機械学習によるレコメンドシステムを活用し、従業員のスキルとポジションの要件をマッチングすることでこの課題を解決します。従業員は自分に合ったポジションを見つけやすくなり、マネージャーは適任者をスムーズに特定できます。

🔹 技術スタック: Adalo (UI/UX, Database, Custom Actions), AWS LightSail (VPS), Python (ML backend and logic)


🔹 現在の機能: 

  • ユーザー認証・認可機能
  • アプリ内UIを通じたデータ管理
  • レコメンドシステム(従業員スキルと職務要件に基づくポジション提案、およびその逆も可能)
  • Adaloと機械学習バックエンドとの接続

<ハッカソン参加チームへのコメント>

トランスコスモス木本氏の評価コメント

「今回のハッカソンでは、各チームがそれぞれ独自の強みを活かし、非常に高い完成度のプロジェクトを発表しました。

チームA:複雑なバックエンド実装をやりとげました。ITILフレームワークに基づいた複雑なワークフローと多対多の関係を持つデータベースをAdaloのみで実装。ノーコードの可能性を証明しました。

チームB:非常に拡張性が高く、可能性に満ちた提案です。生成AI(LLM)との連携を中心に、マルチモーダル対応やポイント連携など、今後の発展性が非常に高いプロジェクトでした。 

チームC:お客様の価値を最大に高める提案にこだわりました。どこでも誰でも使えるレスポンシブ対応、通知機能、外部DB連携など、利便性とセキュリティの両立を実現していました。 

チームD:機械学習エンジン(マシンラーニング)を活用しました。使うほど賢くなるMLエンジンを導入し、Adaloとのデータ同期アーキテクチャで既存システムのスムーズなアプリ化も見据えた提案でした。 

どのチームも、短期間でここまで仕上げたチャレンジ精神と実装力に感動しました。今後の活躍も楽しみにしています。」

SAMI Japan CTOキリル・サプラーノフによる評価コメント

「大きく三つの点に着目しました。

1.東欧のエンジニア達の置かれた状況に関して、皆さんが外国に来て、外国の会社の文化を理解して、外国人エンジニアと一緒にハッカソンに参加するなんて、自分だったらどうなるか、想像してみてください。これはとてもチャレンジングです。

2.各チームは技術がもちろん、ビジネスロジックの理解と分析がとても良かったと思いました。

3.A, B,Cのチームが同じ課題だったにもかかわらず、アプローチが違ったのが興味深かったです。

チームA:ベストプラクティスを調査

チームB:コミュニケーション・関係性作りを優先

チームC:利便性を重視

チームD:独自のAIソリューション

今回のエンジニアは非常に優秀な方が多く、チャレンジ精神がとても強いと思いました。これからの活躍も楽しみにしています。」

<DEMO Day会場の様子>

<Izumonomadでの開発の様子 >

<SAMIハウスでのエンジニア・イン・レジデンスの取り組み>

<トランスコスモス株式会社について>

トランスコスモスは1966年の創業以来、優れた「人」と最新の「技術力」を融合し、より価値の高いサービスを提供することで、お客様企業の競争力強化に努めて参りました。現在では、お客様企業のビジネスプロセスをコスト最適化と売上拡大の両面から支援するサービスを、アジアを中心に世界36の国と地域・182の拠点で、オペレーショナル・エクセレンスを追求し、提供しています。また、世界規模でのEC市場の拡大にあわせ、お客様企業の優良な商品・サービスを世界46の国と地域の消費者にお届けするグローバルECワンストップサービスを提供しています。トランスコスモスは事業環境の変化に対応し、デジタル技術の活用でお客様企業の変革を支援する「Global Digital Transformation Partner」を目指しています。www.trans-cosmos.co.jp

<hello, yaponiyaについて>

Hello, Yaponiyaは、日本に移住したいと考える東欧の高度ITエンジニアを日本に拠点を持つ企業向けに紹介する人材紹介サービスです。エンジニアたちは、半年間のオンライン日本語教育や日本文化・ビジネスマナーに関する研修を終えたのち、2週間の出雲滞在プログラムに参加します。本事業の集大成として、東欧エンジニア来日ハッカソンDEMO Dayでは、社会課題を解決するプロダクト開発を行い、日本企業に技術力をアピールします。www.helloyaponiya.com/for-japanese-companies

<株式会社People Cloudについて>

SAMI Japan、モンスターラボオムニバス、出雲市など、民間4社と1つの自治体によって2023年5月に設立されたジョイントベンチャー。東欧エンジニアの移住・就職プログラム「Hello, Yaponiya」と、出雲市への企業誘致のハブ施設となるコワーキングスペースの運営を手がけます。「出雲から、Izumoへ」をスローガンに掲げ、出雲市内での人や企業の出会い(=ビジネス縁結び)の場を提供し、出雲を日本の一地方都市から、世界中から優秀な人材や企業が集まる、魅力溢れる国際都市に導きます。www.people-cloud.jp